「もともと~~だった」という説明。

志望動機や志望理由の文章を代筆させていただく際、当サービスからのお尋ねに対して時々、「自分はもともと~~だったので」というご回答をいただくことがあります。これに関しては、当サイトの他のページでも少し触れていますが、相変わらず、この類のご回答が多いように感じるので、詳しくご説明します。

結論から言うと、「自分はもともと~~だったので」というのは、何の説明にもなっていません。志望動機や志望理由に書く内容というのは、要するに自分の志望についての説明です。そこで「自分はもともと~~だった」というのは、言ってみれば説明責任の放棄です。「責任」というのは少し変かも知れませんが、少なくとも、相手に判りやすく明確に説明しようという姿勢が欠けていると言わざるを得ません。当サービスご利用との関係で言えば、ご自分の志望についての思考を放棄なさっていると言ってもよいでしょう。

もちろん、「自分はもともと~~だった」という「~~」の部分が、文字通り、生まれながらにしてそうだったというのなら、それでいいでしょう。しかし、多くの場合、そんなはずはありません。志望動機や志望理由というのは、何らかのきっかけや経緯、経験や出来事を経て、その結果としてそのようになったというのが事実のはずです。たとえ性格についての話であっても、たとえば明朗活発な性格が生育環境の中でどのように培われてきたのか、より良く伸ばされてきたのか、その説明が必要です。

もし面接の質疑応答でそういう答えが出てくれば、面接官からは「では、その『もともと』というのはいつ頃からだったのですか?」とか、「なぜ『もともと~~だった』のですか?」とか、そういう突っ込んだ質問が出されるだけです。それに答えられなければ、説得力のある志望動機・志望理由とは言えませんし、それに答えがあるなら、最初からそれを説明すべきなのです。志望動機書や志望理由文の場合も同じです。まともな読み手なら、同じような疑問を感じるでしょう。そして、これは不完全な志望動機書である、説明不足の志望理由書であるという判断を下すはずです。そういう志望動機書などに説得力がないことは、言うまでもありません。

「もともと~~」という言い方を安易に使用すべきではありません。